※2018年12月1日更新
会社を存続させるうえで、手元にキャッシュ(現金)があることは最低条件です。
売上、利益の業績がよくても、明日、必要な現金が手元にないと、会社は倒産してしまいます。
大変だ!税金が払えない!とかなってしまいます。
この会社、お金は手元にあるか?
お金の動きはどうなっているか?
会社の存続にかかわる重要なキャッシュについて、決算書で判断できるのがキャッシュフロー計算書(CF)です。
今回は、キャッシュフロー計算書の説明と、そのキャッシュフローからわかる会社8タイプについてまとめてきます。
キャッシュフロー計算書とは?
キャッシュフロー計算書とは、特定期間中に、企業がどのような活動でキャッシュを増やしたり減らしたりしかを表示した報告書のことです。
キャッシュフロー計算書は、大きく分けて
・営業活動によるキャッシュフロー
・投資活動によるキャッシュフロー
・財務活動によるキャッシュフロー
・全体の増減額(期首残高と期末残高)
の4つから成り立っています。
今回は「営業」「投資」「財務」の3つの活動によるキャッシュフローについてそれぞれを診ていきましょう。
診ていくポイントは「営業」「投資」「財務」の最後の数字が、プラスか?マイナスか?という点に着目していきます。
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営業活動によるキャッシュフロー
一番重要なキャッシュフロー。
営業キャッシュフローとは、会社の本業から得られるキャッシュの増減のことを指します。
増加:製品を販売してキャッシュを得る
減少:社員の給料を払う、原材料費を支払う
営業キャッシュフローはプラスであることが重要です。
プラスが大きければ大きいほど良いとされます。
本業でお金を稼げていなかったら、ありゃりゃ、もともこもないね、ということになってしまいます。
身体測定では身長のようなものです。
大きくなりたい!プラスに成長したい!という感じです。
営業キャッシュフローを改善するには…
仕入れ→在庫→販売という営業活動サイクルの資金の流れを良くしていく必要があります。
例えば
仕入れ…買掛金の支払い期間を長くする
在庫…商品ごとの管理の徹底、受注生産を行うなどして極力少なくする
販売…売掛金の回収期間を短くする、現金で販売する
投資活動によるキャッシュフロー
投資CFとは、固定資産や株の購入、売却によるキャッシュの増減のことを示しています。
増加:固定資産、投資有価証券を販売してキャッシュを得る
減少:固定資産、投資有価証券の購入でキャッシュを支払う
投資CFは、マイナスの方が望ましいです。
なぜか?
これから成長していく企業は、設備投資などに積極的にお金を使うので、投資キャッシュフローはマイナスになります。
マイナスは大きすぎても問題です。
投資キャッシュフローのマイナス金額は、営業キャッシュフローで得られたプラス金額をはみ出してしまっては、ちょっと不安です。
成熟企業の場合は、うまくいっていない事業を廃止して、新事業を創り出すのは必要なことなため、投資キャッシュフローがプラスマイナスを繰り返す場合もあります。
身体測定では体重のようなものです。
糖分、脂肪により(糖脂=投資、無理やりですが…)、太りすぎは、体重がマイナスのほうが嬉しいですね。
改善方法は…
無駄な固定資産の削減、必要ない有価証券の売却
財務活動によるキャッシュフロー
財務キャッシュフローとは、企業が銀行から資金調達をしているか、借入金の返済しているか、株主に配当金支払ったかをというのを表したものです。
銀行や株主との資金のやりとりが分かります。
増加:銀行からお金を借りる、新株を発行して資金調達する
減少:借入金を返済する、株主に配当金を支払う。
銀行から借りたお金を返済したり株主に配当をすればキャッシュが出ていくので、財務キャッシュフローはマイナスになります。
借金返済により財務体質の改善をはかったり、配当の支払いをする余裕がある企業の方が安心ですから、財務キャッシュフローはマイナスの方が望ましいですね。
身体測定でいう血圧のようなものです。
日々の運動不足、ストレス、肥満で高血圧の方が多い中、血圧がマイナスのほうが良しとします。
改善方法…
資金調達コストを下げて、安定的な資金調達を行う
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キャッシュフローから分かる会社の8タイプ
キャッシュフロー計算書は「営業・投資・財務」の3つのキャッシュフローがプラスなのかマイナスなのかを見るだけで、会社の大まかな全体像を把握できます。
「営業・投資・財務」の3つが、それぞれプラスかマイナスの2とおり、2×2×2=8とおりのパターンになります。
今回は、イメージしやすいように、このプラス、マイナスを健康診断の項目に見立てた例も記載しました。
営業:身長 (プラス:成長、 マイナス:加齢、姿勢が悪い)
投資:体重 (プラス:糖分、脂質取り過ぎ、または筋肉がつく、 マイナス:脂肪を落とす減量)
財務:血圧 (プラス:肥満、運動不足、ストレス、 マイナス:肥満解消、運動)
8パターン、診ていきましょう!
①長期優良
(営業CF:+、投資CF:-、財務CF:-)
本業での十分な稼ぎがあり、それを設備投資と借入金返済に使っています。
理想的なキャッシュの流れです。
将来にわたって高い収益性が期待できる優良企業と言えます。
〈健康診断例〉
身長もぐんと伸び、体重はぎゅっと絞られ、肥満解消により血圧も下がって、良いスタイルで健康な状態です。
将来を見据えても、大きな病気の心配もなし!
健康そのものです。
②事業拡大
(営業CF:+、投資CF:-、財務CF:+)
本業ではプラスの現金を生み出し、銀行から資金調達もして、それらの現金で積極的に設備などへ投資活動をしている、成長期の企業です。
投資が成功するかが今後のポイントです。
〈健康診断例〉
身長はぐんと伸び、一生懸命運動したため体重は減量しております。
ただ一生懸命運動したため、多少のストレスがかかり、血圧が上昇しています。
この頑張った運動を良い方向に持っていければ、健康大幅増進が期待できます。
③財務改善
(営業CF:+、投資CF:+、財務CF:-)
本業と資産売却で得た資金を借入金返済に回しています。
本業は順調で、財務体質改善を重要な経営戦略に位置付けている企業に見られるパターンです。
採算が合わない事業をリストラして財務体質のスリム化を進めている状況です。
短期的ではなく、長期的な視野で動けているかがポイントです。
〈健康診断例〉
身長が伸びているところで、筋肉をつけることで体重を増やし、血圧を下げようとしてます。
筋肉をつけることで代謝がアップするので、スタイルアップを目指します。
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④大規模転換
(営業CF:+、投資CF:+、財務CF:+)
本業で稼げているのに、資産売却し、資金調達もするというちょっと不自然な状態。
M&Aなどの将来の大規模投資のために資金を貯めている可能性あり?
〈健康診断例〉
身長を伸ばし、脂肪をつけて体重を増やし、血圧をあげている状態。
うん、確かに不自然です。
なにかやろうとしています。
⑤逆境
(営業CF:-、投資CF:-、財務CF:-)
本業がキャッシュアウトなのに、設備投資も行い借入金返済も行っているちょっと不自然な企業です。
企業の現金残高は急速に減少し、流動性の面で極めて危険な状態です。
過去に実績があり、貯めていた資金を切り崩して、再出発を狙っています。
〈健康診断例〉
姿勢が悪く身長が縮んでしまっている状態、身体を動かしにくいため、食欲もありません。
体重がダウン、血圧もダウン。
健康的な減量の方法ではなく、健康状態が不安です。
⑥勝負所
(営業CF:-、投資CF:-、財務CF:+)
本業がマイナスですが、投資活動を積極的にするためか資金調達を行っています。
まだ収益化ができていないけど、積極投資と資金調達で事業拡大を目指します。
本業の営業キャッシュフローが改善されなければ、流動性面で危険性は高いです。
営業キャッシュフローが改善されれば、将来の収益性面では期待が持てます。
将来有望な企業は、ここから成長していくことが良くあります。
〈健康診断例〉
姿勢が悪く身長が縮んでしまっていますが、なんとか運動を頑張って回復を目指しています。
以前よりさらにスタイルアップを目指し、高い目標をたてながら運動を頑張っているため、体重は減量、血圧は上昇している状態です。
⑦融資停止
(営業CF:-、投資CF:+、財務CF:-)
本業がキャッシュアウトしており、投資した資産売却により借入金返済中の可能性があります。
銀行から融資を引きあげられた!?
ムリをしてでも、財務体質の改善を図ろうとしている企業です。
〈健康診断例〉
身長が加齢により少し縮んでしまいました。
あまり身体が動きませんが、筋肉をつけれるところを頑張ってつけることで、血圧を下げようとしています。
⑧借金要注意
(営業CF:-、投資CF:+、財務CF:+)
本業がキャッシュアウトしており、それを資産売却と借入金で賄っている可能性があります。
流動性、収益性の両面で危険性が高いパターンです。
現在の事業を清算して、新規に新しくチャレンジできれば良いのですが、赤字事業を支えるために資産売却&資金調達でなんとかしのいでいる状態だったら倒産の可能性もあります。
〈健康診断例〉
姿勢が悪く身長が縮んでしまい、身体が自由に動かせません。
その状態で、甘いものを沢山食べて、体重アップ、血圧上昇という状態。
健康面で近いうちに危険が迫っていおります。
まとめ
キャッシュフローの「営業」「投資」「財務」のトータルの値のプラス、マイナスを見るだけで、何となく企業の現状、将来が見えてきます。
一概にはいえませんが、短時間で判断できるので参考になりますね!
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