「ファブレス」という言葉を聞いたことはありますか?
ファブレス(fabless)とは、fab(工場)を持たない(less)
という意味で、「ファブレス企業」とは、工場を所有しないメーカーのことです。
今回はこの「ファブレス経営」についてまとめます。
ファブレス経営とは?
fab(工場)を持たない(less)、ファブレス経営。
企画、研究開発を強みにも持つ企業が、ファブレス経営をよく採用しています。
その際、生産管理を強みにもつ企業に、製造工程を業務委託します。
自社の強みを活かして、自社が不足している部分を強みに持っている他社に委託する、それが製造過程の工場であった場合、ファブレス工場が有効です。
ファブレス経営の発祥は?
アメリカのシリコンバレーで生まれたビジネスモデルです。
シリコンバレーは半導体産業で有名です。
(話が少し飛びまーす。
シリコンバレーの名称の由来は、多数の半導体メーカー(半導体の主原料ケイ素: Silicon)が集まっていたこと、地形(渓谷: Valley)にあります。
シリコンバレーからはアップル、インテル、Google、Facebook、Yahooなどに代表されるインターネット関連企業が沢山うまれました。
世界のIT企業の一大拠点となっています。)
話を戻します。
シリコンバレーは半導体産業が盛んです。
半導体産業はすごい早さで進化していきます。
新しいものがどんどん生まれます。
そう、製品のライフサイクルが短いのです。
そこで、工場を持たずに、製造を委託するファブレス経営がうまれたのです。
これにより、市場のニーズの変化に素早く対応することができますね。
ファブレス経営企業例
このファブレス経営という仕組みですが、実は多くの企業が採用しているのです。
代表する採用企業を挙げます。
・任天堂
・ダイドードリンコ
・アップル
・ナイキ
・壁材、床材、カーテンで有名なインテリア商社のサンゲツ
・大研医器の医療機器(大研医器についてまとめた記事はこちら)
・京都大学発スタートアップのAtomis(アトミス、京都市)のガスボンベ
・海外向け日本酒開発のWAKAZE(ワカゼ、山形県鶴岡市)
企業の規模、業種問わず、活用されているようです。
また中国では500社以上の半導体ファブレス会社があると言われています。
市場動向調査会社である台湾TrendForceによると、中国のファブレス半導体業界の市場は、2018年に前年比23%増だったと発表しました。
中国のファブレス業界でのトップは、Huawei子会社のHiSiliconで、圧倒的な強さです。
メリット
・工場の生産への設備や人材の投資を、研究開発投資に回すことができる
・設備投資が最小限で済むので、ベンチャー企業でも市場参入しやすい
・市場の急速な変化にスピード対応できる
デメリット
・生産過程でのスキルやノウハウが蓄積されない
・情報漏えい、模倣のリスク
・品質管理が難しい
まとめ
とても機能的に見えるファブレス経営ですが、全てが成功するわけではもちろんありません。
成功のポイントは以下2点かなと考えます。
①自社:自社の強みをしっかり磨く
ファブレス経営では自社で製造ラインを持たないので、製造スキルを蓄積することができません。
でも良いのです。そこを強みとして持っていない企業が採用する条件なのです。
そのぶん、自社の強みである企画・研究開発力に人材の投資を行い、さらにオンリーワンなものが作れるかがポイントだと考えます。
②委託先:自社製品製造をしっかり生産管理できる強みをあるパートナーを見つける
委託先に、生産管理が優れた工場運営ができる企業をパートナーにできるかが、成功を握るカギとなります。
製品の製造コストをさげるために、国内で製品の企画・開発を行い、製造は海外の企業に外注するケースがよくあります。
自社製品の品質を落とさず、お互いの強みを活かせるパートナーを見つけられるかが成功の重要なポイントになってくるでしょう。
ファブレスとOEMの違いについてまとめた記事はこちら↓
・ファブレス・OEM・アウトソーシングの違いってなんだ?まとめてみました
ではではこの辺で。
またね☆
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