※2018年10月8日更新
企業規模が年売上100億円以下で、儲けをしっかり出しているキラッと光る企業第10弾です。
10社目は「日進工具」
高い収益性の要因を探っていきます。
日進工具ってどんな会社?
会社名 :日進工具株式会社
売上高 :8,825 百万円
営業利益額 :2,013 百万円
経常利益額 :2,026 百万円
純利益額 :1,420 百万円
従業員数 :322 人
従業員平均年齢 :34.8 才
従業員平均給与額 :635 万円
払込資本金額 :847 百万円
発行済株式数 :12,504,000 株(28年度実績)
28年度の売上は約88億円、税引後当期純利益が約14億!
またまた収益性の高さには驚きです。
事業内容は、小径エンドミルの製造、販売です。
エンドミルとは?
日進工具の資料によりますと
概要:工作機械に取り付け、鋼材・ステンレス・アルミなどを削る工具
⽤途:⾦型や部品などの加⼯に利⽤(穴、溝、平面および三次元曲面など)
顧客:主に、⾃動⾞関連・デジタル家電ならびに電⼦部品関連企業
細かい加工を行う際に使われる工具です。
よって、日進工具の顧客は、細かい加工を行っている製造業全般になります。
顧客は無限大になりそうですね。
日進工具のエンドユーザー顧客は、大手、中小、国内外と5,000社を超えます。
具体的には、自動車、バイク、家電、PC、スマホ、LED照明、光学レンズ、医療機器、燃料電池などの各メーカーになります。
特に得意なのが刃先径6ミリ以下のエンドミルで、日進工具の売上の7割をしめています。
また市場シェアもトップクラス。
ニッチな市場のトップに君臨しております。
これらの事業を次のことを大切に行っています。
「つくる」の先をつくる
明るく、楽しく、創造しよう
日進工具のエンドミルがあれば、こんな新しいことができる!こんなに生産性が上がる!こんなに品質が向上する!と顧客の明るい未来を考え、ワクワクが止まらないほど楽しく、創造していくのです。
そして、高いレベルの製品を、妥当な価格で安定的に供給し、日本のモノづくりを工具の面から支えます。
そんな日進工具の代表的な強みは、以下4点です。
・高品質製品を安定的に供給できる生産力
・小径エンドミルではトップクラスのシェアをしめる販売力
・モノづくり部品大賞など受賞できる開発力
・経常利益23%の高い収益力と有利子負債ゼロの強固な財務基盤
以上をまとめまして、日進工具を人に例えるとこんな感じになります。
高い収益性を出せる仕組み
では、高い収益性はどのように実現しているのでしょうか。
大きくまとめると、次の3点と考えました。
①オンリーワン製品があること
日進工具は精密加工には欠かせない、小径エンドミルのトップメーカーです。
やはりオンリーワンの製品は強いですね!
高い収益性を維持できている企業のあるあるです。
独自のニッチ・トップ戦略による価格競争に巻き込まれない堅実な経営ができています。
それを支えているのは、日進工具の強みである開発力と販売力です。
②工場設備の内製化
日進工具は、エンドミルを製造する設備を自社で造っています。
この工場設備の内製化により、収益性を高める根源となるメリットが2つ。
製品の高精度化と製造工程の自動化です。
〈製品の高精度化〉
自社製品を造るための製造設備なので、加工精度の高さ、品質のばらつきの少なさを実現することができます。
これにより、他社より優れている高精度の製品ができあがり、価格競争に巻き込まれずに済むのです。
そしてそんな製品は人気がでます。
シェアがトップクラスになり、製造数が増え、工場の稼働率も高くなります。
高稼働率の工場で製造するので、工場の収益性も高くなります。
強みの生産力はここが根源でありそうです。
〈製造工程の自動化〉
独自で製造設備を造っているので、自由に自動化することができます。
1台の機械で3日間無人で稼働し続けることもできるそうです。
徹底した生産工程の省力化により、人件費削減。
収益性の高い製造工程を実現しています。
収益性の高い製品を、収益性の高い製造工程で、高稼働で工場を回転させます。
製造業にとっては、理想的な構図です。
③着実な利益重視の成長を継続させる姿勢
日進工具の経営目標は、売上ではなく利益です。
社内会議で、営業社員が口にするのは売上目標ではなく、利益目標です。
無理な売り上げは追いません。
「売上を追った瞬間に、身の丈を超え値引きがはじまり、ものづくりはおかしくなる。」
利益重視な着実な成長と、無借⾦経営の堅持により強固な財務基盤をつくっています。
2018年3月期の売上高経常利益率は28%。
高い!
収益性の高い企業は着実な利益を経営目標にしている傾向があると感じております。
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取り巻く環境
現在、世界中の先進国で、自動運転技術に磨きをかけております。
この自動車の電子化で、今まで使用されていなかった前のものを認知できるセンサーが搭載されます。
それにより電子部品の需要が拡大しています。
2020年には、IoT は 2013年の約 9倍まで浸透する見込みであると予測されています。
(出典:産業構造審議会第 2回情報経済小委員会(2015 年 2 月 9日))
このように車の電子化や、ものやサービスのIoT化で、今後ますまず精密電子部品や機械部品の市場が広がっていくことは想像しやすですね。
それを大量に加工するという点で、精密加工のための工具の需要も拡大していきます。
今後の注目ポイント
日進工具の今後の注目ポイントは2点と考えました。
・現在の主力製品を市場拡大する中でどの程度シェアを拡大できるか
・新ニッチトップを生み出せるか
現在の主力製品のエンドミルは、今後のIoT化により、ますます需要が拡大していきます。
その新市場をどのくらい確保できるか注目ポイントです。
また、ニッチトップ製品が複数あったほうが安心です。
今後、さらなるニッチトップ製品を開発できるかも注目ポイントです。
強みの開発力、販売力、生産力を活かして、今後はどんなものを「つくる」のか。
ワクワク楽しみに診ていきましょう。
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