※2022年3月1日更新
ひと昔前から、スーパーマーケット、飲食店で、食料の廃棄量が多いことが話題に取り上げられております。
以前の記事で取りあげたSDGsでも、世界規模で食料の廃棄を減らすことを掲げております。
SDGsの目標12. 持続可能な生産消費形態を確保する
- 項目12.3: 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。
- 項目12.5 :2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する
今回はこの食料の廃棄に関して取りあげます。
食料廃棄と食品ロスの違い
食料廃棄と食品ロスというワードが良くでてきます。
まずはこの2つの言葉の違いから確認です。
食料廃棄:食料で消費されず実際に廃棄されたもの。
食品ロス:食料廃棄の中で「まだ食べられるもの」を指しています。
食品廃棄の中にまだ食べられる食品ロスがある、というイメージです。
食品ロスの具体例は…
小売店での売れ残り・期限切れ、製造過程で発生する規格外品、飲食店や家庭での食べ残し・食材の余りなどが挙げられます。
レストランで食べ残してしまった→食品ロスになる
レストランでウェイターが運んでいる途中に落としてしまった→食品ロスではない、単純な食料廃棄
世界の食料生産量と廃棄量
世界の食品廃棄物は13億tといわれております。
これは、なんと!世界全体の食料生産の43.3億tの3分の1。
(出所:国連食糧農業機関(FAO)の2011年統計より筆者作成)
なんとも非効率!?
まずまず驚きです。
その一方で、気候変動による食料生産の不安定さなどで、健康な生活を維持できない「栄養不足人口」は8億 500万人に上るといわれています。
これは世界人口の9人に1人!
(出所:国連食糧農業機関(FAO)の2012~2014年統計より筆者作成)
食品ロスや食品廃棄物の削減は、世界規模の解決すべき問題の一つと改めて認識。
世界でムダ、ムラがはびこっている現実を目の当たりにしました。
世界エリア別の食料廃棄の現状
それでは、世界のエリア別でどうなっているのか?
気になりますね。
世界の地域別の1人当たりの食料廃棄・食品ロスを確認してみました。
(出所:国連食糧農業機構(FAO)2011年)
先進国が消費段階での食料廃棄が多い傾向にあります。
この原因として推測できるのが…
・金銭的に余裕があり、食べ物を残すことに抵抗がない
また生産から小売りの段階の食品廃棄は先進国に限らず地域によって大小あります。
この原因として推測できるのが…
<先進国>
・農作物の規格外、加工品の形状不備による廃棄
・店舗での売れ残り
<先進国以外>
・貯蔵施設、物流、売り場の設備、管理不足による腐敗など
国別廃棄量の世界ランキング
世界の国別で、食品廃棄量を確認しました。
イギリス、オランダ、アメリカ、フランスと先進国が連なります。
日本は世界6位です。
上位でうれしい結果ではありませんが…(>_<)
(データ出所:農林水産省 事業系及び家庭系の食品廃棄物発生量、再生利用量の主要国比較 より筆者グラフ作成)
日本の食品廃棄量と食品ロス量
日本では
食品廃棄量:約2,842万トン
(※飼料等として有価で取引されるものや、脱水等による減量分を含む)
といわれ、そのうち
食品ロス:646万トン
(※農林水産省・環境省「平成27年度推計」 )
とされています。
食品ロス:646万トン÷日本の人口:1.268億 (2017年)
=約51㎏
日本の年間一人当たりの食品ロス量は51㎏ということになります。
参考に、年間1人当たりの米消費量は、約54㎏。
うっひゃ~!
驚きです。
1年間で米を食べる量分、まだ食べられる食品を捨てているというのです(;・∀・)
ちなみに食品ロス量のうち、
事業系:357万トン
家庭系:289万トン
といわれています。
(出所:消費者庁消費者政策課 食品ロス削減関係参考資料 平成30年6月21日)
ここでも少し驚きました。
何に驚きかというと、家庭系食品ロスが意外にも多いことです。
スーパー、コンビニでの恵方巻の廃棄ニュース、飲食店での残り物を捨てているイメージが強かったので、ほとんど事業系食品ロスかと個人的に想像していたのです。
個人で貢献できることも多そうです。
政府は今度は家庭系にメスをいれようとしております。
2030年までに、家庭からの廃棄量を、2000年度の半分にする目標を決めました。
達成には全日本国民、一人一人の意識改革が必要になります。
もともと「もったいない」文化の日本。
食べ物を粗末にしない考え方は浸透しやすいと考えます。
家庭から出る生ごみのうち
・ 10.3%「手つかず食品」
・ 13.6%「食べ残し」
※環境省(平成29年度調査)
20%は意識・対策を打てば削減できそうです(^^)/
最近の日本の食品ロス量の推移は…
安定して横並びです。
家庭形の食品ロス量が目標達成すれば、
289万トン→150万トン
事業系:357万トンなので+150万トンで
合計:約500万トンが目標値。
どこまで近づけるか、見ものですねっ♪
日本流通問題点
日本の事業系の食品ロスを削減を目指すには「3分の1ルール」は切ってもきれない問題点として挙げられます。
3分の1ルールとは、メーカーや卸は、製造日から賞味期限までの期間の最初の3分の1が通過するまでに、小売店に納品しなければならないというルールです。
(出所:消費者庁消費者政策課 食品ロス削減関係参考資料 平成30年6月21日)
メーカー、卸の大量の食品ロスの要因になっていると考えられています。
最後に
世界中で毎日大量に発生している食品ロス。
最新のシステムを活用し、ビジネスとして取り組みたい内容です。
ステップ①:近場で食品ロスをビジネスチャンスととらえ解消する
ステップ②:世界で栄養が足りていないエリアを食品ロスを活用する
ステップ②のほうが難しく、特にビジネスモデルとしては難解です。
そんな仕組みは何かないかな?考えながら毎日情報収集に励もうと思います。
食品ロス、興味深い内容だったので、関連記事も書きました。
食品ロスの対策についてまとめた記事はこちら↓
・食品ロスを削減する対策~日本は?世界は?事例を集めてみました~
食品ロスを削減できるフードシェアリングアプリの記事はこちら↓
・食品ロスを削減できるアプリって?使える地域は?(使えたらラッキー♪)~気軽にフードシェアリング~
家庭でできる食品ロス対策をまとめた記事はこちら↓
・家庭での食品ロス~原因と今日から家でスタートできる対策は?~
食品ロス対策もどんどん新しい技術がうまれております↓
・市場規模は700兆円!?食の社会問題に挑戦できるビジネスで注目の「フードテック」とは?
ではでは、またね!
コメント
わかりやすwwww
ありがとうございます!